ゲーム業界への足がかり作りで最初に考えることは、「大手企業」か「中小企業」かを決めることです。
大手企業を目指してもいいですが、競争率が高くなかなか採用されません。
また、経験の浅い人や未経験者は中小企業を目指すことから始めないと、就職できないのが現実です。
特に、デザイナーやプログラマーといった職種をお考えの方々は、自分自身がどういった経験を得たいのか、どのようにスキルアップをしたいのかという視点を持つことが大切。
大手企業に入れたからと言って、理想のキャリアを歩めるとは限らない可能性があるからです。
この記事は、ゲーム業界のプロとして活躍した経験者の視点から、中小企業を狙うべき理由を具体的に解説します。
ゲーム業界で就職・転職を目指す人は参考にしてください。
ゲーム業界の大手企業と中小企業の違い
まずは、大手企業と中小企業で、どのような違いがあるかを理解しておく必要があります。
大手企業と中小企業では、根本的に仕事の範囲が違うので、確認しておいてください。
パブリッシャーとデベロッパーの存在
ゲーム業界には、大きく分けて「パブリッシャー」と「デベロッパー」という物が存在します。
- パブリッシャー:版元、出版社、発行者、発行元、販売元などの意味で、企画や販売、宣伝を行います。
(任天堂、SONY、バンダイ、レベル5、カプコンなど) - デベロッパー:ゲーム制作を行う企業のことを指します。
(モノリスソフト、プラチナゲームズ、ヘキサドライブなど)
パブリッシャーは大手企業に多く、デベロッパーが一体化している場合もありますが、全てのゲームを自社で開発していることはほぼ無いと言っていいです。
対して中小企業では、ゲーム制作に特化したデベロッパーが多い傾向にあります。
そのため、中小企業の方が現場で制作経験を積むには適していると言えます。自分のスキルセットや専門性を早く高められる場として優れているということですね。
現場経験やスキルアップを目指すならはデベロッパーだよ!
大手企業のゲームがどこで制作されているか
実は多くの大手企業のゲームは、パブリッシャーとデベロッパーの連携によって製作されています。
例えば、このような体制でゲーム制作を行うことがよくあります。
会社 | 担当箇所 |
---|---|
パブリッシャー | ゲーム企画 広告・販売 プロデューサー |
デベロッパー | ディレクター プログラマー デザイナー プランナー |
ゲームのアイデアやコンセプトはパブリッシャーが出し、そのアイデアを元にデベロッパーが具体的な設計や開発を行うといった形が一般的です。
ただし、パブリッシャーはビジネス面ばかりでなく、クリエイティブな面でもゲーム制作に関与し、ディレクターやプロデューサーの役割も果たすこともあります。
超有名タイトルでも、パブリッシャーではなく、デベロッパーが作っていることがたくさんあるんだよ。
>>パブリッシャーとデベロッパーの違いは、こちらの記事でくわしく紹介しています。ゲーム業界を目指す人はチェックしておいてください。
中小企業を選ぶべき理由
ゲーム業界の転職に中小企業を選ぶ方がいい理由を紹介します。
- 幅広い経験とスキルアップでキャリアに有利
- アイデアが採用される機会が多い
- フラットな組織体制とコミュニケーション
- 就職・転職の難易度の違い
それぞれ説明してきます。
幅広い経験とスキルアップでキャリアに有利
中小企業では、広い範囲の業務を手がけることで多岐にわたる実務経験を積むことが可能です。
例えば、デザイナーはゲーム実装用のデータ作成だけでなく、CGプログラミング(MELスクリプトなど)やゲームエンジンへの実装作業にも関与することがあります。
また、経験を積むことで多角的な視点を持つことができるようになり、各セクションとのコミュニケーションも取りやすくなり、より開発がスムーズに進められるようになります。
このように幅広い業務を経験することで、スキルアップにつながる機会が広がり、キャリアにも有利です。
業務の幅が増えると大変だけど、スキルアップは確実にできます。将来のキャリアに、必ず有利になるよ!
アイデアが採用される機会が多い
小規模なチームであればあるほど、自分の意見やアイデアが製品に反映されやすく、その結果として自己成長の機会を得られます。
自分が考えたことがゲームに実装される可能性が高まると、モチベーションアップにもつながりますよね。
大手企業では、市場のニーズに応えるために一部のメインストリームなゲームを制作することが多く、アイデアが取り入れられることはあまり多くはありません。
中小企業で働くことによる経験の多さやアイデアが取入れやすい状況は、将来のキャリアアップにも役立ちます。
フラットな組織体制とコミュニケーション
大手企業では多くの社員が関与するため、コミュニケーションが取りづらいことがあります。
また、社内政治が強い企業もあり、思った行動が取れないこともしばしば。
しかし、中小企業ではフラットな組織体制が取られることが多く、相互理解を深めやすく、より密接な関係性を築くことができます。
これは具体的な課題に対して、スピーディーかつ効率的に対処する上で非常に重要なことです。
上司との距離が近いので、意思の疎通もしやすい。間違った情報が下りてくることが少ないのが特徴だね。
部署移動が少ない
大手企業では、毎年のように人事異動が発生します。
- コンシューマーゲーム制作の部署にいたと思ったら、翌年にはアーケード担当になっていた。
- ゲーム制作事業部からアミューズメント系の事業部へ異動した。
- ゲームプログラマーがアミューズメント機器の修理担当に変わった。
など、大手企業では自分の力ではどうにもできない異動が発生してしまうものなのです。
それにたいし、ゲーム制作専門のデベロッパーの場合、基本的にゲーム制作以外の部署に異動することはありません。
ゲーム制作で得たスキルが、来年から使えない!と言ったことになりにくいのがデベロッパーの特徴です。
ガメの会社でも大手クライアントに毎年人事異動があったよ。毎回新しい人にゼロからゲーム制作の説明するのが大変でした。
就職・転職の難易度の違い
大手企業を目指すなら、まずは中小企業で経験を積むことが重要です。
大手企業への就職・転職は競争率が高く、ゲーム業界を目指す人にとってハードルが超高いからです。
一方、中小企業は競争率が大手より抑えられるため、ゲーム業界で働く機会を得やすいと言えます。
実務経験を積み、スキルアップをした後に大手企業を目指すことが現実的な道筋。
大手企業で働きたいと考えている人は、遠回りに見えるかもしれませんが、しっかりキャリアプランを設計しましょう。
新卒でも大手企業は目指せますが、採用率が数%しかありません。よほどレベルが高いか、特別なスキルが無いと採用されないと考えておきましょう。
業界経験者が語る中小企業の魅力
筆者のガメは、中小企業のディレクターをしていました。
ここでは、業界10年以上の経験から、中小企業の魅力をお伝えします。
仕事場の雰囲気と働きやすさ
ゲーム業界の中小企業は人間関係が良く、一人ひとりが自分の役割を全うしながらも助け合って仕事を進められる環境が多いです。
想像以上に仕事のスピード感があり、業務の量も多いですが、自分の作ったものやアイデアがゲームに実装されているところを見ると、仕事のやりがいを感じられます。
また、人同士の距離が近く、何かあってもすぐに各セクションのメンバーが集まって話し合える環境です。
大手では難しい各セクションとの気軽なやり取りも、中小企業ではいつでも可能。
これは開発現場でとても重要なことで、働きやすさにも直結します。
仕事中にゲームやアニメ、映画の話をしたり。仕事が落ち着いているときは、けっこうフランクな感じですよ。
中小企業でしか得られない経験とスキル
中小企業には、大手企業にはない経験を得るチャンスがたくさんあります。
- 一つのプロジェクトを自分たちの力で作り上げたときの達成感。
- アイデアが採用されたときの喜び。
- 多岐にわたる業務を行うことによって得られる経験。
- 幅広い業務を行うことによるスキルアップ。
- 現場のデザイナーやプログラマーでも会議に参加できる環境。
これらは中小企業で働く醍醐味ですね。
中小企業では自分の役割が大きいため、クライアントとの会議にも出席することがあります。
自分の意見やアイデアを出し、プロジェクトが成功した時の喜びはとても大きいですね。
デベロッパーは現場レベルの人でも会議に参加することがあります。現場の意見が直接吸い上げられるのも特徴の一つですね。
中小企業ならではの柔軟な環境
中小企業では、自身の役割だけでなく他の業務にも関与するチャンスがたくさんあります。
その結果、幅広いスキルを習得することが可能です。
また、フラットな組織体制を引く会社が多く、社員一人ひとりが柔軟に対応できるような環境が整っています。
新たなチャレンジを行う際にも、全員が協力し合うことで新しい価値を生み出す環境があります。
幅広い業務を知ることは、将来のキャリアプランに大きな影響を与えます。中小企業だからこそ経験できる現場の仕事を、存分に経験してほしいですね。
中小企業への転職を決める前に考えるべきこと
中小企業でゲーム制作をすると、一人一人の仕事量は多めですが、その分スキルアップしやすく、将来のキャリアパスにも良い影響をもたらします。
ただし、中小企業を選ぶ場合、いくつか考えておくことがあります。
ここで書いてることは、とても大事なことなのでしっかり確認をしておいてください。
自身のキャリア観と目指す方向性
東奔西走しながら経験を積むことは面白いですが、自分自身が何を得たいのか、何を成し遂げたいのかを明確にしておくことが重要です。
自分のキャリア観や目指す方向性から逸脱しないよう、転職先の選択や自身の行動を見直しておきましょう。
あのタイトルの仕事がしたい!あんなゲームが作りたい!将来こうなりたい!など、自分がどうなりたいかを書き出しておきましょう。
企業のビジョンとマッチング
転職する企業のビジョンと自分のキャリア観が一致しているかどうか確認することも重要。
自己成長と企業の成長を同時に達成することが理想的です。
具体的には、求人情報だけでなく、企業のウェブサイトやSNS、インタビュー記事などを調査し、企業の経営者や社員の思考や価値観を理解しておきましょう。
情報が少ない、見つからないときは、転職エージェントに相談すると情報を集めてくれます。エージェントを上手く利用しましょう。
入社後の生活設計とワークライフバランス
入社後の生活設計やワークライフバランスの観点からも、転職先を見極めることが大切です。
あまりにも残業や休日出勤が多い会社は避けるべきです。
勤務地や勤務時間、待遇などを確認し、自分自身の生活スタイルとマッチしているかを検討しましょう。
勤務時間や待遇面も、ネットで調べただけではわからないものがほとんど。転職エージェントに情報を集めてもらうのが正確だよ!
>>ゲーム業界は一般企業に比べて辛いと感じることが多いかもしれません。特に辛いと感じたことを職種別にまとめているのでチェックしてください。
中小企業への転職がゲーム業界で成功する道:業界経験者の視点から
ゲーム業界への転職を考える際、有名大企業の仕事に惹かれがちですが、仕事の内容が必ずしも自分に合っているとは限りません。
そこで中小企業に目を向けると、新たな視野が開ける可能性があります。
中小企業での勤務はゲーム制作に直接関わるため、具体的なスキルアップにつながる大きなチャンスです。
一つ一つのプロジェクト全体を把握しやすく、多くの業務に携わることもできます。
その結果、多角的な視点でゲーム制作に関わることが可能になり、多様なスキルと知識を身につけることができるでしょう。
さらに、中小企業では開発メンバーの距離が近いため、自分のアイデアが採用される確率も高くなります。
このように、中小企業は新しい挑戦をするには非常に良い環境であり、自分自身の成長だけでなく、業界全体への貢献も期待できる場所です。
経験とスキルを身に着け、目指すキャリアが実現できる可能性を高めるためにも、中小企業でゲーム制作に従事することを目指してみてはどうでしょうか。
中小企業はたくさん経験とスキルアップが見に付きますよ!
中小企業を探せるゲーム業界専門の転職エージェント
転職活動をするときは、ゲーム業界に強い転職エージェントをパートナーにするのが必須です。
特に、中小企業やスタートアップ企業も紹介してもらえる「シリコンスタジオエージェント」という転職エージェントがおすすめ。
ゲーム業界に強い転職エージェントはゲーム会社と直接つながりがあり、個人では見つけられない求人情報を得ているからです。
また、エージェントは企業にどのような人材が必要か詳しくヒアリングしているので、より詳しい求人情報が手に入りやすくなります。
この記事で紹介したように、中小企業を目指す人も転職エージェントをパートナーに転職活動をしていきましょう。
シリコンスタジオエージェントは全て無料で転職活動のサポートをしてくれるので、相談してください。
シリコンスタジオエージェントを説明した記事はこちらです。詳しく知りたい人は参考にしてください。
その他、ゲーム業界専門の転職エージェントを8つに厳選して紹介した記事も準備しています。こちらも参考にしてください。
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