IT業界の中でも、拡大傾向にあるとされているゲーム業界。
慢性的な人手不足の業界といわれており、市場に対応するための人材確保が急務とされています。
以前とくらべ待遇は大幅に改善されてきており、転職しやすい環境整備が進みました。
そんな中、ゲーム業界で働くためのキャリアパスは、将来を考えればとても重要です。
この記事では、キャリアパスを考える上で重要なポイントや資格の重要性、職種別のキャリアイメージを紹介します。
これからの将来や転職を考える際に役立ててください。
キャリアパスで悩む分岐点と重要なポイント
ゲーム業界のキャリアパスを考えだすと、必ずと言っていいほど悩む分岐点があります。
「専門職を追求する」か「管理職を目指す」の2つです。
ゲーム業界はまだ新しく、専門職の年齢が若い傾向にあります。
現役で50代や60代も少ないため、年上でキャリアの参考にする人が周りにいないことも多くあります。
将来、自分が40代、50代になったとき、専門職を続けていて仕事ができるのか?と言われると、参考にできる人が少ないため何とも言えないのが現状ではないでしょうか。
筆者の経験と感覚から、今の状況だけ見ると早いうちから管理職(ディレクターやマネージャー)を目指すことが、将来の安定につながるポイントと言えます。
管理職を目指す場合
ゲーム業界には、どんどん若手が入ってきます。
その若手に対し、新しい技術の習得をして伝授することや、体力面で勝ち続けるのは困難です。
若手を育て、プロジェクトを管理する立場になる方が将来性が高く、会社にも後輩にも良い影響を与えられます。
たとえ専門職であったとしても、マネージメント能力を磨くことは可能。
管理職を目指すなら、早い段階からマネージメントとコミュニケーション能力を身に着ける行動を取りましょう。
ゲーム制作を一歩下がったところから見られ、プロジェクトの成功へ導く立場ですね。
専門職を追求する場合
テクニカルアーティストやテクニカルプログラマーと言った、専門職を突き詰めた立場になれば、会社の中で重要なポジションが確立できます。
これからゲーム業界を目指す人、いまゲーム業界で働いている人は目先のことだけでなく、将来のキャリアについても考えて行動するべきです。
専門職を続けるとしても、若手の育成ができる人材を目指してください。これは、フリーランスになっても役立つ技術です。
特にデザイナー、プログラマーは将来が見えにくい。早い段階で将来のキャリアを考えておくべきです。
ゲーム業界のキャリアパスに資格は必要か
ゲーム製作会社としてみた場合、特別な資格を要求されることはほとんどありません。
資格よりも重要なのは経験だからです。
ゲームプログラマーやゲームデザイナーと言った専門職であっても、資格が問われることはありません。
少なくとも筆者の会社は資格で採用・不採用を判断したことはありません。
たとえばプログラマーの場合、どのようなプログラミングができるのかといった実際の能力の方が重要です。
ゲームデザイナーも同様にどのようなデザインができるか、優れたデータが作れるかの方が重要。
ゲームプランナーは、未経験でも募集がかかることが多いのも特徴で、特別な資格は求められません。その代わりに、企画力や提案力が重要です。
正直、履歴書にどれだけ資格が書かれていても、会社としては興味が薄いです。それより経験がものを言う世界ですね。
また、経験以外にコミュニケーション能力も大きなカギです。
コミュニケーション能力は、統括的な立場という流れがあるキャリアパスにも大きな影響を与えます。
どれだけ能力が高くても、コミュニケーションが取れなければ仕事はできません。特に管理職はコミュニケーションが超重要だよ。
ゲーム業界の代表的な職種
ゲーム会社の職種は、大きく分けて管理職・開発・営業・サポートに分けられます。
もちろん、その会社ごとに違いはありますが、だいたいこのような感じと思ってもらえばいいでしょう。
ゲーム業界の中でも転職市場に出てくるのは、以下の職種がメインです。
- ゲームプランナー
- ゲームプログラマー
- ゲームディレクター
- ゲームプロデューサー
- デザイナー
- サウンドクリエイター
- シナリオライター
- デバッガー
この辺りが転職のターゲットになります。
中でも専門的な職種になるのが、プランナー、プログラマーとデザイナー、サウンドクリエイターでしょう。
ゲーム会社の中で製作の中核であり、スキルがなければできない仕事です。
ゲーム制作を管理するマネージャー職
ゲーム制作全体を管理するマネージャー職。
キャリアパスとしては、以下があります。
- ディレクター
- プロジェクトマネージャー
- プロデューサー
基本的にはマネジメントやゲームのクオリティチェック、クライアントとのやり取りなど、ゲーム制作進行に関することをまとめる仕事です。
それぞれ、どの職種の経験が必要!というものはなく、管理能力があれば誰でもなれます。
ゲーム全体をマネジメントしなければいけないので、仕事は忙しいですがその分給料が高い職業です。
ディレクター
開発のタスク管理、制作者への具体的な作業指示、プロジェクト内の問題解決など、ゲーム制作をスムーズに進行させるための管理者です。
特に重要なのは、作業の優先度を決めるタスク管理。
タスク管理ができていないと、スケジュールの遅延や残業の増加、予算の超過など様々な問題が発生します。
これらの管理能力が問われる、現場にとって重要なポジションです。
ゲーム業界では、以前はプランナーが兼ねることもありました。
現在では規模も大きくなっており、大手企業では独立してディレクターを置くようになってきています。
プロジェクトマネージャー
製作にかかわるすべての工程を管理します。ゲーム開発の中心的役割といっていいでしょう。
開発も規模が大きくなると、部署間の進捗の違いや齟齬が生まれます。
これはどんなに細かく管理しても、人間という一番不確定な要素が影響する以上、どこかで発生する問題です。
不確定要素が多数あるなか、プロジェクトを完了させるため、リスク管理までするのがプロジェクトマネージャーの仕事になります。
ガメはディレクター兼プロジェクトマネージャーとしてゲーム制作を管理していました。
プロデューサー
ゲームディレクターは品質管理やスケジュール管理がメインですが、数字という意味ではプロデューサーがさらに上位に位置します。
経営管理サイドに近づき、どのぐらいの販売本数を見込むか、経費も算入しながら利益的な部分も見なければいけません。
数字としての管理能力が求められることから、外部から招聘されることも多いポジションです。
ディレクターやプロデューサーは、ゲームデザイナーから昇格するケースもあります。
ゲームの形を作るゲームプランナー
ゲームを作るうえで、まずはどのようなものを作るか、ユーザーの要望を実現させるか考えるのがゲームプランナーです。
ゲームプランナーはすべての工程にかかる職種であり、専門性も高くなってきました。
ゲームプランナーの基本的な業務
企画・提案から始まり、仕様作成や演出案の作成まで考える仕事です。
特に、仕様書作成はゲームの出来を左右する大事な仕事です。
各部署との連携を明確にし、その後の形を作り上げます。
そもそもアイデアとは形はあってないようなもの。製品として作り上げるためにどうしたらいいかをまとめ上げていくのがゲームプランナーです。
ゲームプランナーは企画や仕様を完全な形で作るというより、すり合わせしながら作り上げる連携力も必要です。
プランナーの仕事でゲームの面白さが決まると言っていいほど重要なポジションだよ。
ゲームプランナーのキャリアパス
ゲームプランナーにもキャリアパスがあります。
- リードプランナー
- シニアプランナー
- ディレクター
リードプランナー
ゲームプランナーは複数人でチームを組み手分けして作業しますが、各員を取りまとめるのがリードプランナーです。
キャリアパスとしても上位に位置するのがわかるでしょう。
メンバーのタスク管理から始まり、クオリティに関することも総合的に判断します。折衝役にもなるのがリードプランナーです。
最近はタスク管理をディレクターがすることが増えてきています。
シニアプランナー
一般的なゲームプランナーの中からさまざまな部署との連携を取り、特定領域のプランニングから複雑な設計を手掛けていくのがシニアプランナーです。
能力としてもさまざまな部分を生かしながら働く立場で、ゲームのクオリティを総合的に高めるのが大きな目的になります。
ディレクター
プランナーのキャリアパスで目指せるのは、ディレクターになることです。
プロジェクト全体を見ている経験から、ディレクターとして現場を管理する立場になることがあります。
マネジメントスキルが求められますが、その分給料が高くやりがいのある仕事です。
製作の花形ゲームプログラマー
ゲーム業界の中でもゲームプログラマーは、実際に作品を作り上げるポジションです。
ゲーム業界の花形で、プログラミングの高い能力を求められることでも知られています。
ゲームプログラマーの基本的な業務
ゲームプログラマーは、実際にプログラミングする人を指しますが、ゲーム会社では多岐にわたる業務を分担しておこないます。
ほとんどの会社で、担当を専門化させているのが特徴です。
その一例がこちら。
- ゲームプログラマー
- グラフィックスプログラマー
- UIプログラマー
- システムエンジニア
- サーバーエンジニア
特にサーバーサードエンジニアやインフラエンジニアは、オンライン化するゲーム業界の中でも重要になってきました。
ゲーム本体を正常に運営するために必須のプログラマーで、安定した運用が利益を導き出すカギになるからです。
ゲームプログラマーのキャリアパス
- ゲームプログラマー
- リードプログラマー
- テクニカルプログラマー
キャリアパスとしてみると、プログラマーとして専門職を続けるか、マネジメント職に移るか、必ずと言っていいほどその悩みにぶち当たります。
もし専門職として続けるのであれば、システムエンジニアやサーバーエンジニアを目指すなど、業務の幅を広げるのも一つです。
一定の経験を積んだなら、マネジメント職として管理業務を行うのも会社から重宝されるので有利ですね。
プログラマーは自分の業務に特化させスタンドアロンなことも多く、他部署との連携がとりにくい部分が出てくるため、管理者の立場は重要なのです。
しかし、ゲーム業界ではプログラマーでありたいと異動を求めない人もいるのが現実です。
ガメの会社にも、オレは永遠にプログラマー!と宣言してる人がいましたね。
プレイヤーが見るものを作るデザイナー
設計に沿ってキャラクターや世界をプレイヤーが見るものとして作り上げるのがゲームデザイナーです。
時代とともに表現の仕方が変化し、要求に合わせてゲームデザイナーの仕事も変わってきました。
デザイナーの仕事は、大きく分けると3DCGと2DCGの2種類になります。
その中でも専門が違ってくるので、それぞれの職種とゲームデザイナーのキャリアパスについて紹介します。
キャラクターと背景(2DCG・3DCG)
キャラクターや背景はゲームの見た目の中心になるデザインです。
3DCGの場合、ゲーム業界では主にMAYAを使ってモデル作成を行います。
実際に描かれたデザイン画をCGで作りこむのが仕事で、どのような手法でも表現できることが重要なポイント。
最近では3Dと2Dに分かれており、どちらも要求に沿って作ることが求められています。
背景の場合には、ライティングの技術も重要になりました。
世界に説得力を持たせるだけではなく、プレイヤーを心理的に誘導する背景も要求に合わせて作る必要が出てきます。
モーションデザイナーやエフェクト(3DCG)
モーション制作は、手付けとモーションキャプチャに分かれます。
PCやコンシューマーゲームの開発ではモーションキャプチャを使うケースが増えました。
特殊な技術が必要になることから、専属のデザイナーが置かれることが一般的です。
エフェクトも進化を続けており、最近はゲームエンジンでエフェクトを作成することが多くなっています。
エフェクトも専門知識が必要とされていますが、モデラーが兼任したりとエフェクト専門デザイナーはまだまだ少ない状況です。
ユーザーインターフェース(2DCG)
UIともいわれますが、ユーザーインターフェースも専門職が増えてきました。
プレイヤーのユーザビリティを考えたデザインを専門としており、世界観を壊さないことが重要視されます。
人間工学などの観点も必要な、難易度の高い職業です。
ただメニューを作ればいいわけではありません。目線の移動やゲームを阻害しないデザインなど、人間工学の知識も必要な職業です。
アニメーター(2DCG)
2Dに多い仕事で、最近では3Dとの融合が一般的になってきました。
アニメーション技術も必要であり、プログラムを超えた知識が必要です。
デザイナーのキャリアパス
- グラフィックデザイナー
- リードデザイナー
- テクニカルデザイナー
- ディレクター
ゲームの中核部分というより、ユーザーに対して直接訴えかけるゲームデザインの重要性は高まっています。
キャリアパスはプログラマーに似ていますが、ユーザーに訴えかける位置にいるだけ、ディレクターなどを望む人も少なくありません。
デザイナーとして専門職を続けるなら、新しい技術をどんどん習得し、他のデザイナーに負けないスキルを常に更新し続けることが重要です。
ディレクターなどのマネジメント職に移っても、デザイナーとしてのスキルがとても役立つことは間違いないので、管理職を目指すのも良いですね。
ガメも多少デザイン知識があったので、ディレクターになった時にとても役立ちました。
心理にも影響するサウンドクリエイター
現在のゲームにおいて、音の重要性はどんどん高まっています。
サウンドデザイナーにもいくつかの職種があり、専門化も進んできました。
サウンドデザイナー
ゲームの中の音楽を作るのがメインの仕事です。効果音などの製作に特化した場合もあります。
基本は生の音です。譜面に書き下ろすなど、プログラミングに活かせる段階に堕としこまなければいけません。
サウンドクリエイターと同じ意味で使われるケースも増えました。
サウンドプログラマー
サウンドデザイナーが作った音楽や音をプログラムに落とし込む仕事です。
デジタル的に最適化するのがメインで、デザイナーが兼任できる場合もあります。
分業化されているかで大きく変わるため、注意しなければいけません。
サウンドクリエイターのキャリアパス
ゲームプログラマーやゲームデザイナーと同様に専門化している仕事です。
キャリアパスとしてディレクターなどを目指す人はそこまで多くありません。
シニア的な統括ポジションが用意してある場合もありますが、サウンドクリエイターは現場を離れる人は少ないです。
不具合を洗い出すデバッガー
プログラムはすべて完璧に仕上がるとは限りません。予期しないエラーなどの問題を抱えることも出てきます。
このようなバグを洗い出し、リリースするときに問題がない状態にするのがデバッガーの仕事です。
非常に地味な仕事ですが、ゲーム会社には欠かすことができません。
デバッガーのキャリアパスは、ほとんどがマネージャーなどの管理職です。
アルバイトから正社員になり、デバック業務の管理職として働くことがキャリアパスとしてよく見られます。
ゲーム業界に転職後のキャリアパスのまとめ
ゲーム業界に転職して、のちのキャリアパスを考えることはとても大切です。
- スキル向上は当然、若手育成もできる人材になること。
- 技術職を続けるなら、より専門性の高いスキルを身に着けて地位を確立すること。
- 将来性が高いのは管理職(ディレクター、マネージャー)。
流れとしては、ゲーム制作のマネジメントをするというのが上位に位置します。
ですが、業界的に技術職であり、技術畑を離れるのは嫌だと考える人もいるでしょう。
どの職種でも、将来を考えるのであれば、どのような経験を積んでいけばいいかよく考えて行動していきましょう。
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