ゲーム業界のデザイナーを目指す人にとって、ポートフォリオは重大な要素です。
デザイナーは、ポートフォリオが無ければ就職・転職できないと言って過言ではありません。
ポートフォリオって作品集でしょ?と考えているそこのあなた。それでは採用担当者の目を引けないんです。
この記事では、業界人の筆者(ガメ)が、現場で見てきたポートフォリオで重要なポイントを解説します。
ゲーム業界のみならず、IT業界特有のポイントにもなりますので、転職を考えている方は参考にしてみてください。
デザイナーはポートフォリオが無ければ就職できません!
ゲーム業界におけるデザイナーの仕事を理解する
ゲーム業界に転職を考えるなら、まずはどんな仕事があるのか理解しなければいけません。
まずはゲーム制作におけるデザイナーとして、どのような仕事内容があるか、自分が目指しているのはどこかを見ていきましょう。
キャラクターデザイナー
ゲームの中でもプレイヤーが直接動かすキャラクター。
物語にかかわる人物たち。敵キャラまで含め、さまざまなキャラクターをデザインする仕事です。
キャラを作るという点で、2Dと3Dに分かれるようになりました。
どちらも専門的な知識が必要で、使用するソフトなどにも違います。両方受け持つのではなく、専門職として置かれることが一般的になりつつあります。
デザインとしてキャラクターを生かすことが大切です。
デザインをまとめることも大切ですが、動く前提で作る技術が求められます。
モーションや形状が不自然にならないよう、生物構造なども理解していないといけない、難易度が高い仕事です。
背景デザイナー
背景モデラーとも呼ばれる、キャラクターを生かすための背景を作成する仕事です。
ゲームでとても重要な背景は、作成次第で世界観が変わります。ゲーム業界としても非常に重要な役割を持つ仕事といえるでしょう。
世界観を作り出すという意味では、キャラクターよりも重要なことがあります。
背景データは、ゲームの処理速度にも影響が大きいため、CG処理の知識もなければいけません。
キャラデザインと同様に、2Dと3Dがあり使うソフトも違います。制作環境に違いがあるという点でも、それぞれ経験が問われることになるでしょう。実際の作画能力やパースなどの理解も必要です。
モーションデザイナー
最近重要度が高まってきているのが、モーションデザイナーです。
以前はキャラデザイナーや背景デザイナーが兼任している場合が一般的でした。現在はキャラクターの動きを作る専門家であることから、専門担当を置くように変わってきています。
モーションデザイナーには、インゲームとカットシーンの2つがあり、仕事の内容も違う点に注意が必要です。
インゲームはプレイヤーが操るキャラクターに動きを付けるなど、キャラデザインとプランナーの意図をくみ上げられる能力も必要です。モーションデザイナーの能力が低いと、すべてのデザインの動きが止まります。それほど現在のゲームでは、モーションデザイナーの活躍の場が広がっているのです。
カットシーンは、イベントシーンを作る仕事です。現在のゲームの中でイベントシーンは非常に比重が高くなっており、話を作り上げる大事な要素になります。プランニングを生かす、ストーリーを生かす面でも大事な仕事です。
エフェクトデザイナー
演出専門のデザイナーです。以前はキャラデザイナーなどが兼任していましたが、今では専門を置く会社が増えています。
エフェクトは演出というだけではありません。たとえば、道もわかりにくい山道の中で、エフェクトをかけて無意識のうちにルートをたどらせるなど、ゲームデザインの根幹にもつながる仕事です。
会社によっては自社開発のエフェクト専用ソフトを使うことがあります。
最近では、ゲームエンジン(Unity、UE)でエフェクトを作ることも増えてきているため、専門性が高まっています。
UIデザイナー
キャラクターや背景とは違い、縁の下の力持ち的なデザインを担当します。
現在のUIはプレイヤーの操作感にもつながり、うまくまとめ上げなければ、ゲームの評価にも大きな影響を与えるポイントです。
UIデザイナーには、ユーザビリティなどを踏まえたデザイン能力が欠かせません。
プレイヤーをゲームに集中させるためにも、人間工学なども踏まえて設計して作ることが求められます。
能力だけでなく、経験も必要な仕事です。
2Dアニメーター
ゲーム業界の2Dアニメーターは、近年のスマホゲーム発展で重要になってきた職種です。
キャラクターを動かし続けアニメーションを作り上げることから、立体感や陰影なども踏まえてデザインする能力が欠かせません。
3DCGで作るモーションと、2Dアニメーションは別物と考えて良いレベルで専門的。
没入感を高めるための要素となるため、専門職が置かれるようになりました。
ゲーム業界デザイナーの転職必要不可欠なポートフォリオ
ここでは、ポートフォリオの必要性とまとめ方について説明します。
ポートフォリオの必要性
デザイナーの転職にはポートフォリオが絶対に必要です。
ゲーム会社は応募されたポートフォリオから、スキルの高さや将来性を見て採用の判断をしているからです。
ポートフォリオなしでは、いくら良い履歴書を書いても書類選考に通りません。
また、ポートフォリオが無いと、どのようなデザインが得意か、どの業界で経験があるのかを明確に示せないため、デザイナーとして絶対に必要な資料となります。
ポートフォリオは事前準備するべきか
ゲーム業界の常として、資格を重視しません。
軽い面接であっても、縁故で紹介される場であっても、必要なことはこれまで培ってきた経験です。
もちろん、資格があることはマイナスにはなりませんが、それ以上に経験を示さなければいけません。
ポートフォリオは簡単には作れないでしょう。構成まで考えれば、そうとうな時間がかかります。
だからこそ、事前準備が大切で、日ごろから携帯するぐらいの意識が必要です。
ポートフォリオは自分を示すものにもなることから、自己紹介となんら変わりません。
どのように演出するか、自分のなにを見せたいか、ゲーム業界で使えるものかを考え作っておくことが大切です。
そのうえで、該当する会社や職種にあったカスタムができるようにしておきましょう。これもデザイン能力の一つになります。
ポートフォリオ作成の基本
ポートフォリオは、どのように能力を証明し伝えるかが大事なポイントです。
ポートフォリオで自分の実力を示すために、これらがわかるようにまとめましょう。
- デザインしたもの。
- 関連作品。(何を参考にしたかなど)
- 過程。(かかった時間、使ったツールなど)
- 結果。(この作品作りで、何を得たか)
提出手段としてはプリントアウトする方法や、使用ソフトのファイルを提出する方法が増えました。
特に、エフェクトやモーションを提出するなら、ファイル提出をすると、該当ソフトの熟練度が示せます。
実務経験を提示するためにも使われるポートフォリオは、過去の経験や作品をまとめるだけでは意味がありません。
採用側はポートフォリオを大事な情報としますが、提示の手法や作り方など複数のポイントを見ています。
ポートフォリオは作品を提示するだけではなく、能力を示すためのものということを忘れてはいけません。
どのように見せるのか、編集や企画力もデザイナーの仕事のひとつ。こういった部分もポートフォリオから見て取れるようにするのがポイントです。
デザイナーのポートフォリオで見られているポイント
デザイナーを志望し転職活動するとき、ポートフォリオの何を見られるのか理解しないといけません。
- 基礎画力
- 動きと表現の理解
- 模写力
- ソフトのスキルと理解力
ここでは、見られているポイントをそれぞれ説明します。
基礎画力
デザイナーとして重要な能力は基礎画力です。
基礎画力は、主にデッサンで見られます。
基礎画力とは描けるだけではなく、理解する能力も含みます。
基礎的な画力がなければ、ツールの使い方が上手くてもゲームグラフィックとして落としこめません。
2Dデザイナーに限らず、3Dデザイナーでも基礎画力は必要です。
よく、3DCGにはデッサンが必要ないと勘違いされますが、そんなことはありません。
3DCGデザイナーでもデッサンができる人と、できない人でどんどん差が開きますので注意してください。
ガメの会社では、デッサンができない人は、伸びしろが無いと判断されていました。作品のレベルが多少低くても、デッサンが上手い人を雇っていましたね。
動きと表現の理解
最近では動き(モーション)も大事なポイントになってきました。
動きを作るうえで、どのようなポーズやカメラアングルがいいのか。
動きと表現(演出)ができるデザイナーが重宝されます。
静止画だけでなく、動的な部分の知識もポートフォリオに盛り込むことで、スキルの広さを伝えられます。
静止画でも動きは表現できますよね。ダイナミックな動きや、静かな動きなど、どう表現できるかを盛り込みましょう。
模写力
ゲーム業界のポートフォリオはオリジナルの作品ばかりでなく、模写を入れましょう。
模写を入れることで、模写力を見せるのも自分のスキルをアピールする方法です。
どんなテイストでも模写ができる人は、需要が高いデザイナーになれます。
2Dイラストでも3DCGでもいいです。
テイストが違うデザインのキャラクターや物を複数模写して入れておくと目を引きます。
また、模写するにあたって、どこに気を付けたか。模写してみてどこに感銘を受けたのかなど、自分の意見を添えておくことがポイントです。
どれだけ本物を汲み取れるか。難しいお題ではありますが挑戦してください。
ゲーム業界ではIPものを手掛けるときなど、模写できる人が重宝されます。たくさん模写して、ポートフォリオに組み込みましょう。
ソフトのスキルと理解力
ゲームデザインにはさまざまなソフトが使われます。
製品を作り上げるまでと考えれば、それこそ無数のソフトを使うといっていいでしょう。
- Photoshop
- illustrator
- After Effects
- MAYA(MELが書けるとより良い)
- 3dsMax
- Unity
- Unreal Engine
理想は応募先の会社が使っているソフトやPluginのポートフォリオがあることです。
例えば3DCGの場合、MAYAを使っている会社が大半です。可能な限りMAYAで作品を作ってください。
また、最近ではスタンダードになったUnityやUnrial Engineでシェーダーを作る、UIを組み込んで動かすなど、ゲーム実装まで想定したポートフォリオにすると、より具体的にアプローチできます。
モデリングだけ、2Dイラストだけでは普通過ぎる。ゲームエンジンへの組み込みまで想定できたポートフォリオは少ない。ここが差を付けられるポイントだよ!
ゲーム会社に合わせたポートフォリオの作成を!
ゲーム業界の中でもデザイナーは範囲が広い仕事です。
デザインを作り上げるといっても、自分の好きにできるわけではありません。
デザイナーを目指すなら、応募する会社の方向性に合わせられるスキルがあることをアピールすることが大切です。
そのためにも、以下のポイントに注目をしてポートフォリオを作成してください。
- 会社がもつテイストとマッチさせる。
- 自分の好きな物ばかりでまとめない。
- 作品に自分の考えを添える。
会社がもつテイストとマッチさせる
そもそもなぜその会社に応募したのか?につながりますが、その会社のテイストに合わせた作品を入れることは有効です。
特に、その会社で好きなタイトルや、やりたい仕事の作品があるなら模写でもいいので、数点ポートフォリオに入れてください。
応募する会社の魅力を、自分ならどう表現できるのか。どこに魅力を感じているのか。
この会社で働きたいという意思をアピールするのがポイントです。
その会社で働きたい!と思っているなら、その会社のテイストをよく勉強してアピールしよう!
自分の好きな物ばかりでまとめない
ゲーム会社のデザイナーは、あらゆるデザインテイストの仕事をしていきます。
リアル(写実的)であったり、アニメ調であったり、ときには手書き風であったり。
私はリアルしかできないので!なんてことを言ってたら、それ以外の仕事ができなくなってしまい、使いにくい人と思われてしまいます。
全てのテイストが得意とまではいかなくとも、ある程度順応できるデザイナ-の方が重宝されるのは間違いありません。
自分が不得意とするデザインテイストこそ、試してみてどう感じたか、どこが上手く行かなかったかを分析するべきです。
そういった試行錯誤している様子も出すことで、人間性まで垣間見れるポートフォリオになります。
ポートフォリオは、応募する会社毎にカスタマイズするぐらいの気持ちで作っていいよ。
作品に自分の考えを添える
ポートフォリオは、絵を見せるだけでは勿体ないです。
どのように感じ、何を考えて作り、どのような点に苦労したかなど。
制作過程で感じたことや苦労した点を添えておくことで、ポートフォリオを見た人が人間性も感じられるようになります。
自分は「ものを考えられるデザイナー」として働ける、ということをアピールすることが大切です。
デザイナーに聞いたところ、何を考えて作った作品か見たらわかるらしい。自分がどう考えたか、何が難しかったかを素直に書いてあると印象が良いと言ってたよ。
ポートフォリオのポイントまとめ
ポートフォリオで主に見られているところは、このようなところ。
- 基礎画力
- 動きと表現の理解
- 模写力
- ソフトのスキルと理解力
ポートフォリを作るときは、このようなところがポイントです。
- 会社がもつテイストとマッチさせる。
- 自分の好きな物ばかりでまとめない。
- 作品に自分の考えを添える。
デザイナーが就職・転職をするためには、ポートフォリオが絶対に必要です。
履歴書や職務経歴書も必要ですが、それよりもポートフォリオが大事です。
応募する会社にアピールするためにも、ポートフォリオの作成には力を入れて作品作りをしてください。
>>デザイナーが転職を成功させるための具体策を、こちらの記事でくわしく紹介しています。ゲーム業界の転職を考えているデザイナーさんは、参考にしてください。
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